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ビタミンB1はどんな効果がある?

疲れた時はビタミンB1が多い豚肉!疲労回復効果があるとして有名なビタミンB1ですが、最近ではダイエットや美肌にも効果的だとして注目されています。実はビタミンB1にはまだまだ知られざる効果がたくさんあるんです!
- ダイエット
- 美肌
- 疲労回復
- 神経機能の維持
- うつ病予防
- 生活習慣病予防
- 消化の促進
今回はこの

ビタミンB1はビタミンB群と呼ばれる体の中のさまざまな代謝に関わる水溶性ビタミンの1つ。別名チアミンとも呼ばれています。
ビタミンB群はお互い体の中で助け合うことで高い効果が発揮できることから、まとめてビタミンB群と呼ばれています。
そんなビタミンB群の中でも、実はビタミンB1は世界で最初に発見されたビタミン。 ビタミンB1の存在から、他のさまざまなビタミンが発見されていったんですね。
ビタミンB1の7つの効果
それではさっそくビタミンB1の効果について見ていきましょう。
ダイエット効果
ビタミンB1は体内で糖質の代謝をサポートする働きをしています。糖質といえばご飯やパンなどの主食、炭水化物のことですね。
糖質は脳や体を動かすエネルギーになりますが、食べてそのままエネルギーになるわけではありません。体の中のさまざまな酵素で糖質を分解し、エネルギーとして使える形に変えているのです。
ただし、酵素の多くはそれ単体では体の中でうまく機能することができません。ビタミンB1はそんな糖質を分解できない酵素とくっついて糖質の代謝をサポートしているのです。
つまり、ビタミンB1が不足するとエネルギーへの変換がうまくいかず糖質は脂肪として体に貯蓄されてしまうんです。
炭水化物を主食とする日本人にとって、糖質を脂肪に変えないためにも欠かせない栄養素なのですね。

ビタミンB群と摂取でダイエット効果アップ!
ダイエット効果をアップさせるならビタミンB1と合わせてビタミンB2・ビタミンB6も摂取するのがおすすめ。
- ビタミンB1…糖質の代謝をする
- ビタミンB2…主に脂質の代謝をする
- ビタミンB6…主にたんぱく質の代謝をする
この3つのビタミンで3大栄養素の代謝がスムーズに行われるようになるんです!スムーズな代謝は体に脂肪がつくのを防ぎ、太りにくい体にしてくれます。
効果的にダイエットするにはビタミンB1だけでなくビタミンB群をまんべんなく摂取しましょう。

肌のターンオーバーを促す
ビタミンB群は肌の代謝に深く関わっており、不足すると肌荒れにつながるともいわれていますよね。
◆ビタミンB1の肌への効果
- 皮膚や粘膜を健康に保つ
- 皮脂の分泌に関わる
- ターンオーバーを促す
ビタミンB1は体の新陳代謝をアップして肌のターンオーバーを促してくれます。ターンオーバーは通常28日周期で肌が新しく生まれ変わるのですが、加齢や肌荒れによってうまくいかない場合があります。そんな時もビタミンB1を摂取してターンオーバーを促すことで美肌に生まれ変わらせてくれます。
また、ビタミンB1が不足すると皮脂の分泌が多くなりニキビができやすくなります。先ほど説明したとおりビタミンB1は糖質の代謝に関わっています。
ビタミンB1が足りずに
ビタミンB1をしっかり摂取することで、炭水化物が原因の過剰な皮脂の分泌を抑えてニキビを防ぐことができますよ。
疲労回復
糖質は脳や神経、筋肉など人が生きていく上で必要なエネルギー源です。
ビタミンB1が不足して糖質がエネルギーに分解できないと、体のエネルギーが足りないために疲れやすくなってしまいます。特に疲れている時や熱が出た時などは体内でビタミンB1が多く消費されてしまいます。
そのため、疲れを感じているときは意識的にビタミンB1を摂取しないと糖質の代謝がスムーズにいかないのです。
ビタミンB1の不足は結果的に疲労を招くため、疲労回復に効果があるといわれているんですね。
疲労の原因は乳酸?
ビタミンB1が不足して糖の代謝が途中で止まることで生まれる乳酸。乳酸は疲労物質として長い間疲労の原因とされていました。
そのために
現在は乳酸は体のエネルギーとして使われるとされており、乳酸が疲労物質という考えが改められているようです。そして、疲労の詳しい原因やメカニズムは解明中だそうですよ。

神経機能を正常に維持
脳は、中枢神経を通して末梢神経に情報を伝えることで体をコントロールしています。日常生活で物を触る、ご飯を食べるといった動作はすべて神経機能をとおして行われているのです。
そんな脳や神経機能の唯一の栄養源が糖質。糖質から作られるエネルギーが不足すると、運動神経や集中力が低下してしまいます。ビタミンB1が糖質の代謝を手伝うことで、間接的に神経機能が正常に働くようにサポートしているのです。
また、ビタミンB1は神経細胞間で情報を伝える神経伝達物質の作用を高め、情報が正常に伝わるようにする働きもあります。私たちがふだん運動したり仕事をしたりするのにはビタミンB1が活躍してくれていたんですね。
うつ病予防
先ほど神経機能とビタミンB1の関係についてお話ししましたが、神経機能の中には感情のコントロールをする自律神経というものもあります。脳の栄養であるブドウ糖が不足すると、自律神経のバランスが崩れて異常な眠気や不安感などを引き起こしてしまいます。
また、糖質から作られるエネルギーが少ないと体は低血糖の状態になります。
この低血糖の状態はアドレナリンなどの「攻撃ホルモン」が分泌されやすくなってしまうんだそうです。そのため、イライラしたりパニックを起こしたりという症状が出やすくなるそうです。
ビタミンB1の神経機能を正常に保つ効果はうつ病などの精神的なものにも深く関わっているんですね。

生活習慣病予防
生活習慣病といえば動脈硬化や糖尿病、メタボなど食生活や老化が原因で起こる病気の総称ですね。実はどの病気も糖質の取りすぎが大きく関わっています。
特に、内臓脂肪が蓄積することで起こるメタボリックシンドロームと、糖質の代謝が異常を起こしてしまうことで起こる糖尿病。どちらも糖質の取りすぎが原因で起こるものです。
ビタミンB1をしっかり摂取することで糖質の代謝をアップ、糖尿病やメタボを防ぐことが期待できます。
また、ビタミンB1は神経機能の維持にも大きく関わっていることをお話ししましたね。ビタミンB1の欠乏による神経症状が悪化すると、心不全になってしまう可能性もあるそうです。
消化促進
ビタミンB1には消化液の分泌を促進する効果もあります。消化液というのは口や胃の中で食べ物をとかして栄養を吸収しやすい形にする役割をしています。唾液や胃液のことですね。
また、ビタミンB1には腸の蠕動運動を正常にする働きもあり、消化液の分泌と合わせて消化不良や食欲不振にも効果的ですよ。

ビタミンB1 の効果的な摂取方法
水溶性であるビタミンB1は、水と混ざりやすく栄養素として吸収しにくいビタミンだといわれています。ビタミンB1はその水溶性の性質から体内に取り込まれてからも水分と混ざりやすく、すぐに尿として排出されてしまいます。
そんな体に貯蓄することができないビタミンB1、できるだけ効果的に摂取したいですよね。ビタミンB1を効果的に摂取するには
糖質と一緒に摂る
ビタミンB1は糖質の代謝を助ける成分。疲労回復やうつ病を予防するには、エネルギー源となる糖質も一緒に摂取しなければ意味がありません。
特にダイエット中はカロリーを抑えるため、ごはんやパンといった炭水化物を抜きがちですが疲れやすくなったり肌が荒れたりするので減らしすぎはNG。
糖質は体や脳にとって大切なエネルギー源です。ビタミンB1は糖質と一緒に摂ることで体にいい働きをしてくれるんですよ。
アリシンと一緒に摂る
アリシンというのは玉ねぎやにんにくに含まれている特有のニオイの元となる成分。
アリシンはビタミンB1とくっついてアリチアミンという物質に変化します。このアリチアミンは脂溶性のため熱や水に強く、ビタミンB1単体のときよりも体の中に長く滞在することができます。
水溶性のため体の中にためておくことができないビタミンB1ですが、アリチアミンになることで余分なビタミンB1も排出されずに血液中に貯蔵しておくことができるようになるんです。
ビタミンB1が多く含まれる食材を使うときは、アリシンを含む食べ物とうまく組み合わせてみましょう。

アリシンを多く含む食べ物
- にんにく
- 玉ねぎ
- 長ネギ
- にら
- らっきょう
水で洗い過ぎない
ビタミンB1は水溶性で水に溶けやすいビタミン。長い間水で洗ったり水につけておいたりすると、ビタミンB1はどんどん水に溶け出ていってしまいます。ビタミンB1の流出を防ぐためには、野菜などを洗うときは時間をかけずにさっと流すようにしましょう。
加熱は出来る限り避ける
ビタミンB1は熱にも弱いビタミン。ビタミンB1をできるだけ効率よく摂取するには焼いたり炒めたりといった火を使う調理法はできるだけ避けたほうがいいでしょう。
とはいえ、ビタミンB1を多く含む食材の中には生のまま食べられない食材も多いですよね。ビタミンB1は熱や水に弱いですが、
野菜はサラダなど生のまま食べる、火を通すお肉などはビタミンB1が少なくなることを想定して多めに摂るなどの工夫をすることで十分な量のビタミンB1を摂取することができそうです。
スープなど汁ごと食べられるようにする
ビタミンB1は熱にも水にも弱いですが、その性質を利用して汁ごと食べられる料理にするのも1つの手です。スープなど汁も一緒に食べることができる料理ならば、溶け出したビタミンB1も無駄なく摂取することができます。
ビタミンB1を汁ごと食べられる料理
- スープ
- 味噌汁
- カレー
- シチュー
- 鍋

ビタミンB1の摂取量
◆ビタミンB1食事摂取基準推奨量
| 男性 | 女性 |
15〜17歳 | 1.5 | 1.2 |
18〜29歳 | 1.4 | 1.1 |
30〜49歳 | 1.4 | 1.1 |
50〜69歳 | 1.3 | 1.1 |
厚生労働省のビタミンB1食事摂取基準によると、成人男性は1.4mg、成人女性は1.1mgが1日の推奨量となっています。妊婦さんや授乳中の方は0.2mgほどプラスすることが推奨されています。
ビタミンB1は水溶性で過剰な分は体外に排出されるため、上限量は特に設けられていないようです。

ビタミンB1欠乏症の症状
ビタミンB1にはさまざまな効果がありますが、逆に不足することによって重大な身体症状を引き起こすこともあります。
脚気
ビタミンB1欠乏症としてもっとも有名なのが脚気。現代では末梢神経障害とも呼ばれ、江戸時代には原因不明の病として多くの死者を出したことで知られています。
◆脚気の主な症状
- 食欲不振
- 下半身の倦怠感
- 足のしびれやむくみ
- 動悸
脚気はビタミンB1が不足することによって末梢神経に障害がでてしまう病気です。初期は食欲不振や倦怠感から始まり、重度になると心不全を引き起こすこともある怖い病気。
両足対称に起こることが多く、つま先を針でチクチクと刺されているような痛みや足の脱力感が起こるそうです。
脚気は過去の病気と思われがちですが、実は最近脚気予備軍の人が増えてきているそう。ビタミンB1を多く消費するのにビタミンB1を全く含まないインスタント食品やお菓子、アルコールなどの偏った食生活が原因なのだそうです。
脳の動きが悪くなる
先ほどご紹介した脚気は末梢神経に障害が起こることが原因ですが、脳の動きが悪くなるのは中枢神経に影響が出ることが原因です。
ビタミンB1が不足して脳に十分な栄養が届けられないと、イライラや集中力の低下といった症状がでます。
また、ビタミンB1不足が引き起こす中枢神経障害の一つにウェルニッケ脳症というものがあります。
◆ウェルニッケ脳症の症状
- 集中力がなくなる
- すぐに眠ってしまう
- ふらつく
- 歩けない
- 寄り目になる
- めまい
ウェルニッケ脳症はビタミンB1不足によって意識障害、眼球運動障害、歩行障害を引き起こす脳障害。治療が遅れると後遺症が残ったりなくなる可能性もある病気です。ビタミンB1が不足しているだけでこのような怖い病気になってしまう可能性があるんですね。
心不全
心不全も末梢神経障害の1つの症状。先ほど紹介した脚気が重度になると心不全を引き起こす可能性があります。
心不全というのは、心臓が体に血液を送る働きがうまく行われず、体に必要な量の血液が送れなくなってしまうことをいいます。
神経障害で血管が拡張、心拍数が増えると、心臓に負担がかかってしまい高い心拍数を維持することができずに心不全になってしまうそうです。さらに、心不全に陥ると脚や肺に処理しきれない水がたまり、血圧が下がって危険な状態になってしまうそうです。
心不全の前触れである血管の拡張は、皮膚が温かく湿ったように感じるという特徴があるそうですよ。
ビタミンB1の過剰摂取によるリスク
ビタミンB1は水溶性ビタミンのため、通常は過剰摂取しても体外に排出されて体に影響はありません。
しかし、厚生労働省によると1日あたり3000mg以上のビタミンB1の摂取は体にとって毒となるというデータが報告されているそうです。
概要:チアミン塩酸塩(ビタミンB1の水溶性の塩)10gを2週間半毎日飲み続ける
◆ビタミンB1の過剰摂取によって起こった症状
- 頭痛
- いらだち
- 不眠
- 速脈
- 脆弱化
- 接触皮膚炎
- かゆみ
これらの症状は摂取中止後2日で改善されたそう。このような実験結果があったのにビタミンB1の上限量が設定されなかったのは、この実験だけでは上限量が不確かだったからだそうです。

ビタミンB1が豊富な食べ物
それでは最後に、ビタミンB1が多い食品をご紹介します!
| 含有量(100gあたり) |
豚ヒレ肉 | 0.98mg |
豚もも肉 | 0.90mg |
ボンレスハム | 0.90mg |
青のり | 0.89mg |
大豆 | 0.83mg |
きなこ | 0.76mg |
うなぎの蒲焼 | 0.75mg |
豚ロース | 0.69mg |
焼き海苔 | 0.69mg |
豚バラ肉 | 0.54mg |
玄米 | 0.41mg |
グリーンピース | 0.33mg |
ビタミンB1といえば豚肉のイメージですが、部位によってビタミンB1が含まれる量に差があるようです。
成人女性のビタミンB1推奨量1.1mgをとるためには、加熱することを考えて豚ヒレ肉なら200gほど食べる必要があることになります。豚肉ならアリシンを含む玉ねぎやにんにくとも組み合わせやすくメニューも豊富なため効果的にビタミンB1を取り入れられそうですね。
また、ビタミンB1を手軽に摂取するには白米を玄米に変えるのも効果的です。たくさん食べる主食をほとんどビタミンB1が含まれていない白米から玄米に変えることで、毎食ビタミンB1を取り入れることができますよ。

ダイエットから美容まで効果的!たくさん摂ろう
今回は、ビタミンB1のダイエット効果をはじめとした体にうれしい効果を紹介してきました。ビタミンB1は体にとって必要不可欠な栄養素。調理方法や食材の組み合わせで推奨摂取量は十分摂取できそうですね。ビタミンB1を食事から上手にとりいれて健康的なダイエットに役立てましょう!